Calender

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

Categories

Archives

Recent Entries

読書感想文SP

59「源氏物語雲隠六帖【桜人】」

  

★超速あらすじ★

バンズ上⇒紫上顕現。匂帝、真人間になる。
 具  材 ⇒薫&匂帝&巣守皇后の3者会談(但し、巣守皇后は空気)。
ピクルス⇒左近少将その後
バンズ下⇒紫上顕現。匂帝、悟った顔になる。
 

 :源氏物語でいう桜とは、紫上です。

  なので【桜人】帖は、夢枕の紫上で始まり紫上で結びます。

  

前帖の【巣守】でも、冷泉院の巣守で始まり中君の巣守で結びました。

雲隠六帖が後世の同人本と切り捨てられないのは、

源氏物語54帖と相変わらぬ、文章構成の美しさが際立つからでしょう。

こういった構成に重きを置くのは、やはり漢詩の影響が大きいと思います。

源氏物語は仮名文学ですが、日本古来の文字を万葉仮名に統一し、

さらに漢字をベースとした仮名文字に崩した成り立ちを感じるのです。

よく「古事記」は万葉仮名、「日本書紀」は漢字が用いられていると言われ、
渡来系氏族の影響力に結び付けて考察する場合を目にするのですが、
あれ、違うと思うんですよね。「古事記」は倭国連合王権の誕生により、
文字の統一を図った意味合いが大きいもの。
いわゆる歴史共通認識を知らしめるための書でした。
翻って漢字体の「日本書紀」は、日本を海外(ほぼ唐国)に知らしめるための、
国威発揚の書だったのではないかと手前勝手に想像しています。
男は漢字、女は平仮名と当時の文字に親しむ環境を説明されるのですが、
そうでなくて、やっぱり日本は平仮名なのですよ。
大陸からの留学生が交じり、ふんだんに漢詩引用される政所政治なればこそ、
公用文字は漢字だったのだと考えます。
あの高麗や李氏朝鮮の行政機構が漢字を扱っていたのも、
中華の行政官が多く駐留していたからですよね。
嫌韓サイトではハングル=下賎語とか決めつけている風潮ありますけど、
ハングルの雛形が遊牧系民族由来など言われているから、
もともと為政者と民衆で出自が異なっていたのでしょう。
話が脱線しちゃいましたが、言わんとするところは、
日本人というものは、漢字を離れて美しさに寄り添えない性があると思います。
アルファベットの活字には興味を示さない反面、
筆記体の飾り文字に心ときめくのも、そんなところかな?と思っちゃいました。
※個人の感想です。
 
さておき、物語の起点は【御法】帖。
幼き日の匂宮(現匂帝)が病床の紫上から、桜を自らの仏前に供えてほしいと、
遺言めいた願いを託された記憶から始まります。
二人は血の繋がらない祖母と孫の関係にあたるのですが、
紫上が光源氏の養女で、匂宮母である明石中宮も紫上の養女なので、
紫ババアいうほど年寄りではありません。せいぜい30歳代。
映画「大霊界」で丹波哲郎の祖母役が杉本彩なみのインパクトだろうか。
※誰も知らないって(笑)
なので匂宮の夢枕や白昼夢に出てくる紫上は、
源氏物語スーパーヒロインの名を恣にした光源氏好みな美女そのまま。
※ちな私は玉鬘(たまかずら)推し
ついでに私が紫上を思い浮かべるとき、身近なキャラで投影するのは、
「パタリロ!」登場キャラのマライヒさんです。
※誰も意味わかんないって(笑)
そんなワケでまあ、匂帝即位後のブルーな気分と申しますか、
現在の立派な姿を、大好きだった紫上に見せたかったと歎いていたとき、
夢枕に立つ紫上が匂帝に語りかけます。
「いつも見守っていますよ」的な当たり障りないセリフなのですが、
本人は甚く心を慰められ、真摯な生き様を誓います。
母である明石中宮から何度、女癖を諌められようと寝耳に水だったものが、
さすが、おばあちゃん子ですね。
宇治山荘に押し入って浮舟を強+女女女したコトとか、
舟でしか逃げられない宇治川中州の別邸に拉致監禁したコトとか、
リベンジポルノ送りつけた件を、紫ばあちゃん知ってたとしたら、
もう泣いて詫び入れの一手でしょうね。
  
ところで、始まりと結びに美女版紫上のエピソードあるとしたら、
それに挟まれる形でハンバーガーの具があるワケです。あと、ピクルスも。
まず具のほうから触れておくと、薫と匂帝と中君の三者会談が相当します。
この頃の薫は右大将から内大臣に昇進、中君は匂帝の皇后待遇です。
会話内容は当然、浮舟をめぐるNTR関連の謝罪等。
中君(巣守皇后)は浮舟の素性を隠していたのが、匂宮を獣化させたとかいう、
釈然としない言い分なのですが、皇后様は言われるがまま。
此処まで拗れたのも、薫が浮舟に煮え切らずフリーにしていたせいだと、
匂帝は物申しますが、これも薫は受け入れており、
すでに【夢浮橋】帖からダイジェスト進展で、小野山荘から浮舟を取り戻し、
僧籍から還俗させて妻にしていたため、昔のコトですよ、と割り切った感じ。
読者目線では波風なさすぎて物足りないかも知れませんが、
雲隠六帖が回収ターン進行なので、こんなものではないかと。
 
あと、ピクルス成分について触れておきましょうか。
浮舟と巣守皇后周辺の関係人物について、その後の情報です。
皇后の外戚母となった中将君は三条ハーレム(薫本宅)の一画で権勢を振るう。
中将君の再婚相手で浮舟の継父である常陸介は、常陸から大和へ転封され、
見ため、都に近くなったように思えるが、中将君からはペット扱いの不遇。
問題は浮舟に破談のトラウマを植えつけた左近少将で、昇進もなく窓際へ。
いちお浮舟との破談後に異父妹と結婚しているので身内ではある。
あろうコトか【夢浮橋】帖で文遣いを担った浮舟異父弟の小君が、
中将に昇進して左近少将を踏み越えていく。人事は薫の差配であろうが、
讒言は浮舟や巣守皇后でなく中将君なのは明々白々。
かなり蛇足っぽい部分ではあろうが、女御部屋の噂話としては、
なくてはならないスパイスだと思われる。
かつて浮舟が中君のいる二条院に匿われていたのを、中将君が訪ねたとき、
左近少将も随行していて、浮舟への求婚と破談の噂話に、
女房たちが花を咲かせていたのが思い出される。
【桜人】帖はサイド攻撃がメインなため、具とピクルスは平々凡々なほど、
左右のウイングハーフが活きてくる(意味不明)。
 
結びは桜散る庭を前に、紫上(霊体)が匂帝を諭すシーン。
匂帝もまた、巣守皇后と同じく、亡くなった大切な人を胸に秘めたまま、
生き続けていきたいと願う、好ましい側の人間である。
 
 徒し世と 思ひな果てぞ 桜人 花の散るてふ ことの習ひを
  
紫上が匂帝に贈った、今帖巻名由来の歌。
桜と人の生涯を同じに捉え、咲き誇りと舞い散るさまを、
当たり前のように受け入れなさいと教え諭す歌意。
生きびとと死びとは住む世界を違える。
なればこそ、普段は各々の住む世界で一生懸命に生きて、
(本来なら盆や命日だろうが)、桜を見るたび、思い出してくれればよい。
これは自身を雲に喩えて冷泉院へ贈った、光源氏の心にひとしい。
 
紫上と庭木の桜、幼き匂宮との二人だけの物語。
  
  • 2020.09.08 Tuesday
  • 00:00

Comment
Send Comment